ショートステイで令和6年に新設された『看取り連携体制加算』について、すでに理解はできていますか?
この記事では『看取り連携体制加算』について、できるだけわかりやすく解説していきます。
ショートステイでも看取りを考える時代が来たんだね。
他の事業所より早く看取り介護を始めて、ショートステイとしての差別化にも使えそうだね。
じゃあ、早速、看取り連携体制加算の内容を一緒に理解していこう!
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ショートステイの看取り連携体制加算とは?
ショートステイで算定できる『看取り連携体制加算』は、ショートステイで看取り期の利用者さんへサービス提供をした際に算定できる加算です。
現在、ショートステイの利用方法や目的も多種多様となっており、看取り期でもショートステイを利用したいという方は、以前と比べても増えてきています。
看取り連携体制加算が設置されたことで看取りの選択肢が広がる
今まで、ショートステイで看取り期の利用者さんを受け入れるというのは、あまり積極的に行われていない現状がありました。
しかし、看取り連携体制加算が設置され、ショートステイで看取り期の受け入れが積極的に行えるようになることで「ギリギリまで自宅で過ごしたい」「過ごさせてあげたい」という、利用者さん本人や家族のニーズに沿うことができるよになってきます。
今までは、看取り期になってから施設を探すっていうのが、現実的に難しかったからね。
ショートステイで看取り期を受けられるようになるのは理想だよね。
看取り対応でサービスの差別化を図っていく必要がある。
施設によっては、常に空きがあるというショートステイも珍しくありません。
そんな中で、サービスの差別化は絶対的に必要です。
看取り連携体制加算が始まったことで、大きく分けて2通りの考え方が生まれると私は考えています。
- 「単位数が少ないからやらない」という考え。
- 「ニーズがあるから加算として追加された。サービスとして始めよう」という考え。
前者の方が作業効率としてはいいかもしれませんが、後者は一度流れを作れば、看取り期の受け入れだけでなく、そこでたくさんのケアマネさんと繋がれるなど、その場限りではないメリットも発生します。
看取り連携体制加算を算定する前に、内部で取り組むべきかどうかをしっかり検討する必要がありそうだね。
看取り連携体制加算の単位数
看取り連携体制加算は、以下の単位数を算定することができます。
看取り連携体制加算 単位数
64単位/日
死亡日および死亡日以前30日以内のうち、7日を限度として算定可能。
注意しないといけないのは、入院してから亡くなるまでの日数によっては、加算を算定できなくなる可能性があるということです。
入院した日の翌日から死亡日までの期間が30日以上あった場合には、看取り連携体制加算を算定することはできない。
指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準
亡くなった日から遡って30日までの期間だけが、加算の対象に入るんだね。
間違った算定をしないように注意しよう。
看取り連携体制加算の算定要件
看取り連携体制加算は、看護師の配置や対応方針の作成といった大まかな部分と、記録の整備や家族への説明、カンファレンスなど、細かな部分があります。
算定を開始してから「あれができてなかった!」ってなると困るから、しっかり算定内容を確認しようね。
看護体制加算とその他の条件に該当すること
次のいずれかに該当している必要があります。
看護体制加算 算定要件
- 看護体制加算(Ⅱ)または(Ⅳ)イ若しくはロを算定していること。
- 看護体制加算(Ⅰ)または(Ⅲ)イ若しくはロを算定しており、かつ、短期入所生活介護事業所の看護職員により、または病院、診療所、訪問看護ステーション若しくは本体施設の看護職員との連携により24時間連絡できる体制を確保していること。
ちなみに!
看護体制加算の算定要件は次のようになっています。
看護体制加算の要件
- 看護体制加算(Ⅰ)
- 運営規程に定められている利用定員数を超えていない
- 常勤の看護師1名以上配置
- 併設事業所の場合は常勤の看護師を別に1名以上配置
- 看護体制加算(Ⅱ)
- 運営規程に定められている利用定員数を超えていないこと
- 利用者の数25を基準として端数を増すごとに看護師が1名追加されている(例: 26人なら2名、51人なら3名必要)
- 特別養護老人ホームである場合、利用者の数3を基準として端数を増すごとに2名追加されている
- 看護職員と連携し、24時間連絡できる体制を確保している
- 看護体制加算(Ⅲ)イ
- 加算(Ⅰ)の算定要件を満たしている
- 定員要件が29人以下
- 前年度/算定月を含んだ3ヶ月間前の利用者総数のうち、要介護3~5の利用者の割合が70%以上である
- 看護体制加算(Ⅲ)ロ
- 加算(Ⅰ)の算定要件を満たしている
- 定員要件が30人以上50人以下
- 前年度/算定月を含んだ3ヶ月間前の利用者総数のうち、要介護3~5の利用者の割合が70%以上である
- 看護体制加算(Ⅳ)イ
- 加算(Ⅱ)の算定要件を満たしている
- 定員要件が29人以下
- 前年度/算定月を含んだ3ヶ月間前の利用者総数のうち、要介護3~5の利用者の割合が70%以上である
- 看護体制加算(Ⅳ)ロ
- 加算(Ⅱ)の算定要件を満たしている
- 定員要件が30人以上50人以下
- 前年度/算定月を含んだ3ヶ月間前の利用者総数のうち、要介護3~5の利用者の割合が70%以上である
看取り期における対応方針を定めること
利用開始の際に、利用者またはその家族等に対して対応方針の内容を説明して、同意を得ていることが必要です。
ここまでが、『令和6年度介護報酬改定の主な事項について』に書かれている算定要件。
次からは『指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(短期入所サービス及び特定施設入居者生活介護に係る部分)及び指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について』っていう資料に書かれている内容についてまとめていくよ。
看取り連携体制加算について指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準に記載されている内容
看取り連携体制加算 算定にあたって
- 看取り介護をPDCAサイクルで構築、強化する
- 24時間連絡できる体制。緊急に呼び出しができる体制の構築
- 看取りのマニュアル、対応方針を作成
- カンファレンスを行い、適宜内容を見直し
- 利用者さんの状況、家族への報告について記録を残す
- 利用者さんや家族へ説明するため、記録の開示等をできるようにする
- 亡くなった後に請求が残る可能性があることを説明
- 入院後も継続的に関わる
- 他職種連携で意向に沿った看取りを
上記内容をしっかりと整備して看取り期を利用者さんに過ごしてもらう必要があります。
もう少し詳しく説明していくね。
看取り期におけるサービス提供体制の評価
『事業所の看取り期の利用者に対するサービスを提供する体制をPDCAサイクルにより構築かつ強化していくこととし』という一文が記載されています。
看取りの対応の質を上げていく為の加算だっていうことがわかるね。
24時間連絡できる体制
「24時間連絡できる体制」とは、事業所内で勤務することを要するものではなく、夜間においても短期入所生活介護事業所から連絡でき、必要な場合には短期入所生活介護事業所からの緊急の呼び出しに応じて出勤する体制をいうものである
このような記載があります。
常に看護師を常駐させる必要はありませんが、連絡体制と緊急時の対応に対しての体制を確保しておく必要があります。
対応方針の設定
看取り期における対応方針を定める必要があります。
具体的な内容に関して、例として次のような内容が挙げられていました。
- 当該事業所における看取り期における対応方針に関する考え方
- 医師や医療機関との連携体制(夜間及び緊急時の対応を含む。)
- 利用者等との話し合いにおける同意、意思確認及び情報提供の方法
- 利用者等への情報提供に供する資料及び同意書等の様式
- その他職員の具体的対応等
看取り対応全般を理解できるマニュアルを作成すればいいみたい。
ケアカンファレンスの実施
看取り期における対応の実践を振り返る等により、看取り期における対応方針の内容その他看取り期におけるサービス提供体制について、適宜見直しを行う。
看取り期の対応を適宜見直すためのカンファレンスについて記載があります。
具体的な回数等の指示はありませんが、カンファレンスを定期的に開催して、記録を残しておきましょう。
介護記録等の記録と情報共有
以下の内容について、記録を残す必要があります。
- 利用者の身体状況の変化及びこれに対する介護についての記録
- 看取り期におけるサービス提供の各プロセスにおいて利用者及び家族等の意向を把握し、それに基づくアセスメント及び対応の経過の記録
利用者さんの状況だけじゃなくて、家族への報告や、家族の意見も記録に残す必要があるよ。
記録の開示と資料提供
利用者さんの家族が看取りに関して理解したり、知りたい情報を知れるように、ケース記録などの記録を開示できるように準備しておく必要があります。
ケース記録でなくても、内容を理解しやすいように作り直した資料でも差し支え有りません。
入院後の請求について説明
短期入所生活介護事業所等から医療機関へ入院した月と死亡した月が異なる場合でも算定可能であるが、看取り連携体制は死亡月にまとめて算定することから、利用者側にとっては、短期入所生活介護を終了した翌月についても自己負担を請求されることになるため、利用者が入院する際、入院した月の翌月に亡くなった場合に、前月分の看取り連携体制加算に係る一部負担の請求を行う場合があることを説明し、文書にて同意を得ておくことが必要である。
つまり!
看取り連携体制加算は、看取り期にショートステイを利用し、亡くなった際に算定できる日数を計算して、亡くなった月の実績として加算を算定します。
つまり、ショートステイを利用した後に入院して、月をまたいで亡くなった場合の請求は、看取りの利用者さんが亡くなった次の月に家族のもと届くことになります。
このの内容に関して、あらかじめ家族へ説明して、文章で同意を得ることが必要なんだって。
継続的な関わり
短期入所生活介護事業所は、入院の後も、継続して利用者の家族や入院先の医療機関等との継続的な関わりを持つことが必要である。
入院して退所になると関係が切れがちだけど、利用者さんを看取るまで、関わりを持つように記載されてるね。
入院した病院から情報をもらえるように、事前に利用者さんや家族から同意をもらうことが必要っていう一文もあったよ!
多職種連携と情報共有
看取り介護では、本人、家族、施設内の他職種と連携、情報共有をしっかり行い、本人の意思を尊重したケアを行うよう書かれています。
看取り連携体制加算の算定をするためには、しっかりと準備しておく必要があるんだね。
【簡単解説】ショートステイの看取り連携体制加算とは? まとめ
この記事のまとめ
- ショートステイで看取り期を過ごした際の『看取り連携体制加算』という加算がある。
- 算定要件と、整備すべき事項がたくさんあるので、しっかり理解してから算定することが必要。
- ショートステイでの看取りの需要は確実にある。看取り介護を始めて、ニーズを満たすことも必要。
ショートステイでも看取りを意識するようになったのは、大きな変化だよね。
算定する事業所は、算定に漏れがないように注意しよう!
お知らせ
ショートステイで働く方が直面する初期の悩みや考え方を整理するのに役立つ一冊を執筆しました。
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ショートステイで働く人の、こんな悩みを解決する1冊です。
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