夜勤職員配置加算は、夜間の介護体制を整え、利用者に安全で質の高いサービスを提供するための重要な制度です。
しかし!
配置基準や見守り機器の活用要件など、具体的な算定条件は複雑で、戸惑うことも多いでしょう。
この記事では、夜勤職員配置加算の概要から、算定要件、施設タイプごとの加算ポイント、さらに注意点やよくある質問まで詳しく解説します。
この記事を通して、夜勤職員配置加算の仕組みを理解し、実務に役立ててみてね!
お知らせ
ショートステイで働く方が直面する初期の悩みや考え方を整理するのに役立つ一冊を執筆しました。
- 稼働率を維持できるのか不安でプレッシャーがすごい。
- 居宅ケアマネや家族と上手くやっていく自信がない。
- 特養のことは教えてくれても、ショートのことを教えてくれる先輩がいない。
ショートステイで働く人の、こんな悩みを解決する1冊です。
ぜひ読んでみてください!
夜勤職員配置加算とは?概要と基本情報
夜勤職員配置加算とは、夜間に質の高い介護サービスを提供するために、基準よりも多くの介護職員や看護職員を配置している施設に対して評価される加算です。これにより、夜間の介護環境をより安全に保ち、利用者に安心を提供します。新人相談員としては、施設の種類によって加算の要件が異なることを理解し、最新の情報に基づいて適切なサポートを行うことが重要です。
夜勤職員配置加算の定義と概要
概要
夜勤職員配置加算の対象施設は介護老人福祉施設や短期入所施設、介護老人保健施設などです。
新人相談員は各施設の算定要件を把握し、適切な対応ができるように準備を進めましょう。
対象となる事業者は?
夜勤職員配置加算の対象は以下のような施設です。
- 介護老人福祉施設
- 地域密着型介護老人福祉施設
- 短期入所生活介護
- 介護老人保健施設
- 短期入所療養介護
これらの施設に勤務する際には、それぞれの要件や配置基準をしっかり理解しておくことが重要です。
解釈通知と最新情報の確認方法
夜勤職員配置加算に関する最新情報は、厚生労働省の解釈通知や自治体の介護報酬改定資料を通じて確認できます。新人の相談員としては、これらの情報に目を通し、制度変更があった際に迅速に対応できるよう心掛けることが大切です。
夜勤職員配置加算の算定要件を徹底解説
夜勤職員配置加算を算定するには、各施設で特定の要件を満たす必要があります。
この項目では、短期入所生活介護(ショートステイ)をはじめ、各施設における夜勤職員配置加算の算定要件を詳しく解説します。
夜勤職員配置加算の取得単位数
サービス内容 | 区分 | 単位数 |
---|---|---|
短期入所生活 | Ⅰ | 1日→13単位を加算(従来型) |
短期入所生活 | Ⅱ | 1日→18単位を加算(ユニット型) |
短期入所生活 | Ⅲ | 1日→15単位を加算(従来型) |
短期入所生活 | Ⅳ | 1日→20単位を加算(ユニット型) |
短期入所療養(老健のみ) | 1日→24単位を加算 | |
介護老人福祉施設 | Ⅰイ | 1日→22単位を加算(従来型) |
介護老人福祉施設 | Ⅰロ | 1日→13単位を加算(従来型) |
介護老人福祉施設 | Ⅱイ | 1日→27単位を加算(ユニット型) |
介護老人福祉施設 | Ⅱロ | 1日→18単位を加算(ユニット型) |
介護老人福祉施設 | Ⅲイ | 1日→28単位を加算(従来型) |
介護老人福祉施設 | Ⅲロ | 1日→16単位を加算(従来型) |
介護老人福祉施設 | Ⅳイ | 1日→33単位を加算(ユニット型) |
介護老人福祉施設 | Ⅳロ | 1日→21単位を加算(ユニット型) |
介護保険施設 | 1日→24単位を加算 | |
予防短期入所療養(老健のみ) | 1日→24単位を加算 | |
地域密着特養 | Ⅰイ | 1日→41単位を加算(従来型) |
地域密着特養 | Ⅰロ | 1日→13単位を加算(従来型) |
地域密着特養 | Ⅱイ | 1日→46単位を加算(ユニット型) |
地域密着特養 | Ⅱロ | 1日→18単位を加算(ユニット型) |
地域密着特養 | Ⅲイ | 1日→56単位を加算(従来型) |
地域密着特養 | Ⅲロ | 1日→16単位を加算(従来型) |
地域密着特養 | Ⅳイ | 1日→61単位を加算(ユニット型) |
地域密着特養 | Ⅳロ | 1日→21単位を加算(ユニット型) |
短期入所生活介護(ショートステイ)での夜勤職員配置加算の算定要件
「夜勤職員配置加算」の中には、たくさんの分類があり、それぞれに算定要件があります。
以下に、加算区分ごとの単位数、適用される介護報酬の種類、配置基準および安全対策基準をまとめた表を掲載します。
加算区分 | 単位数/日 | 適用される介護報酬の種類 | 必要な配置条件 | 安全対策基準 |
---|---|---|---|---|
加算Ⅰ | 13単位 | 短期入所生活介護費 | 通常の夜勤職員に加え、1人以上の介護職員または看護職員を配置 | 見守り機器を10%以上導入+委員会設置で0.9人配置で可、ユニット型は0.6人で可 |
加算Ⅱ | 18単位 | ユニット型短期入所生活介護費 | 通常の夜勤職員に加え、1人以上の介護職員または看護職員を配置 | 見守り機器を10%以上導入+委員会設置で0.9人配置で可、ユニット型は0.6人で可 |
加算Ⅲ | 15単位 | 短期入所生活介護費 | 夜勤時間帯を通じて、看護職員や特定登録証保持者を1人以上配置 | 喀痰吸引や特定行為の登録を受けた職員配置が必要 |
加算Ⅳ | 20単位 | ユニット型短期入所生活介護費 | 夜勤時間帯を通じて、看護職員や特定登録証保持者を1人以上配置 | 喀痰吸引や特定行為の登録を受けた職員配置が必要 |
単位数は介護サービス(R6.6.1 )(一部訂正)の122ページにも記載されています。
ⅠとⅢは従来型、ⅡとⅣはユニット型の施設なんだね。
見守り機器の部分が少しわかりづらいので、追加で覚えておきましょう。
指定介護老人福祉施設に併設された短期入所生活介護事業所、または特別養護老人ホームの空床を利用して短期入所生活介護を行う場合、夜勤職員配置加算の計算において特別なルールが適用されます。
具体的には、短期入所生活介護の利用者数と本体施設である指定介護老人福祉施設の入所者数を合算し、その合計人数を指定介護老人福祉施設の「入所者の数」として、夜勤職員配置加算に必要な夜勤職員数を計算します。
夜勤職員の数を、この計算で算出された人数よりも1人以上多く配置することで、加算の対象となります。
さらに、利用者の動向を検知できる見守り機器を導入し、以下の条件を満たしている場合は、必要な夜勤職員の数を10分の9に減らすことができます。
- 利用者の数の15%以上の数の見守り機器を設置していること。
- 見守り機器を安全かつ有効に活用するための委員会を設置し、必要な検討等を行っていること。
つまり、見守り機器の導入により、夜勤職員の配置数をさらに減らすことができる特例が設けられています。
夜勤者の計算方法については、この後の項目で解説するよ♪
短期入所生活介護における算定要件のここに注目!
夜勤職員配置加算を算定する際には、いくつかの留意点があります。
留意点
- 特定スキルを持つ職員の配置
加算Ⅲや加算Ⅳでは、喀痰吸引など特定スキルを持つ職員の配置が求められます。これにより、医療的ケアが必要な利用者への対応も可能となります。 - 見守り機器の定義
厚労省からの通知には”利用者がベッドから離れようとしている状態又は離れたことを検知できるセンサー及び当該センサー”という表現で書かれています。 - 委員会の開催について
同じく、厚労省からの通知には”「見守り機器を安全かつ有効 に活用するための委員会」は、3月に1回以上行うこととする。”と記載されています。
また、開始から”9週間については、少なくとも3週間毎にヒヤリハット・介護事故の状況を確認することとする。”という記載があるので注意しておきましょう。 - 同意が必要
見守り機器をベッドに設置する際には、入所者のプライバシーに配慮する観点から、入所者又は家族等に必要な説明を行い、同意を得ることが必要になっています。
このような条件を満たすことで、夜間の利用者の安全を確保しつつ、必要な加算を得ることができます。
介護老人福祉施設での算定ポイント
指定施設サービス等介護給付費単位数表によると、介護老人福祉施設の夜勤職員配置加算は、以下の区分に従って1日につき所定単位数に加算されます。
内容 | 単位数 | 要件 |
---|---|---|
夜勤職員配置加算(Ⅰ) イ | 22 単位 | 従来型のサービス費を算定する場合かつ入所定員30人以上50人以下 |
夜勤職員配置加算(Ⅰ) ロ | 13 単位 | 従来型のサービス費を算定する場合かつ入所定員51人以上又は経過的小規模 |
夜勤職員配置加算(Ⅱ) イ | 27 単位 | ユニット型のサービス費を算定する場合かつ入所定員30人以上50人以下 |
夜勤職員配置加算(Ⅱ) ロ | 18 単位 | ユニット型のサービス費を算定する場合かつ入所定員51人以上又は経過的小規模 |
夜勤職員配置加算(Ⅲ) イ | 28 単位 | 従来型のサービス費を算定する場合かつ入所定員30人以上50人以下 |
夜勤職員配置加算(Ⅲ) ロ | 16 単位 | 従来型のサービス費を算定する場合かつ入所定員51人以上又は経過的小規模 |
夜勤職員配置加算(Ⅳ) イ | 33 単位 | ユニット型のサービス費を算定する場合かつ入所定員30人以上50人以下 |
夜勤職員配置加算(Ⅳ) ロ | 21 単位 | ユニット型のサービス費を算定する場合かつ入所定員51人以上又は経過的小規模 |
これらの加算は、厚生労働大臣が定める夜勤を行う職員の勤務条件に関する基準を満たし、都道府県知事に届け出た指定介護老人福祉施設が算定できます。
ただし、いずれかの加算を算定している場合は、その他の加算は算定できません。
つまり、夜勤職員配置加算は、条件を満たしても、1事業所で1つしか算定できないっていうことだね。
介護老人福祉施設も入所者の動向を検知できる見守り機器を導入し、必要な要件を満たしている場合は、夜勤職員配置加算に必要な夜勤職員数を減らすことができます。
見守り機器の定義や委員会の規定については、ショートステイと同じみたいだね♪
地域密着型介護老人福祉施設の要件
指定地域密着型サービス介護給付費単位数表によると、地域密着型介護老人福祉施設の夜勤職員配置加算は、以下の区分に従って1日につき所定単位数に加算されます。
内容 | 単位数 | 事業形態 |
---|---|---|
夜勤職員配置加算(Ⅰ) イ | 41 単位 | 地域密着型 |
夜勤職員配置加算(Ⅰ) ロ | 13 単位 | 経過的地域密着型 |
夜勤職員配置加算(Ⅱ) イ | 46 単位 | ユニット型地域密着型 |
夜勤職員配置加算(Ⅱ) ロ | 18 単位 | 経過的ユニット型地域密着型 |
夜勤職員配置加算(Ⅲ) イ | 56 単位 | 地域密着型 |
夜勤職員配置加算(Ⅲ) ロ | 16 単位 | 経過的地域密着型 |
夜勤職員配置加算(Ⅳ) イ | 61 単位 | ユニット型地域密着型 |
夜勤職員配置加算(Ⅳ) ロ | 21 単位 | 経過的ユニット型地域密着型 |
単位数はサービスコード表(令和6年6月・8月施行版)で確認をしています。
地域密着型も、夜間の見守り機器導入に関しては他の事業所と一緒だから、確認しておこうね!
夜勤職員配置加算の計算方法とそのポイント
夜勤職員配置加算を適切に算定するためには、夜勤時間帯の設定や職員数の計算方法を正確に把握する必要があります。
この項目で一緒に夜勤職員配置加算の計算方法とそのポイントを確認していこう。
夜勤時間帯の設定と考慮点
夜勤時間帯の設定は、厚生労働省の基準に基づき、次のように定められています。
- 設定時間帯: 午後10時から午前5時までを含む連続16時間
- 事業所や施設ごとに設定: 施設の利用者数やケアの内容に応じて夜勤時間帯を各々の施設が決定します。
- 例: 午後5時~翌朝9時のように、夜勤時間帯は各施設で異なります。
一日平均夜勤職員数の具体的な計算方法
1日の平均夜勤職員数は、夜勤職員配置加算を得るために必要な職員数を計算する基礎です。以下の計算式で求めます。
1日の平均夜勤職員数 = 延夜勤時間数 ÷(当該月の日数 × 16)
延夜勤時間数とは:1ヶ月における夜勤時間帯の延べ勤務時間数。夜勤時間に働いた総時間数を指します。
計算例
例えば、夜勤時間帯が午後5時~翌朝9時で延夜勤時間数が1,685時間の場合
1,685 ÷ (30 × 16) = 3.51
小数点第3位以下を切り捨て、3.51人が平均夜勤職員数となります。
夜勤職員配置加算の注意点とよくある質問
夜勤職員配置加算の算定をするにあたって、再度注意点を見直しておきましょう。
よく質問が出る内容についてもまとめてあるので、併せて読んでみてください。
夜勤職員配置加算の注意点
基準を満たす職員配置の確認
- 夜勤職員配置加算は、各加算区分ごとに配置基準が細かく定められています。不足があれば算定ができないため、定期的に職員配置が基準を満たしているか確認しましょう。
見守り機器の活用要件の把握
- 見守り機器の導入により、夜勤職員の配置基準を緩和できる場合がありますが、機器の台数や利用者割合などに規定があります。また、見守り機器の有効性を確認する委員会の設置も必要です。要件に合致しない場合、加算が認められないことがあるため注意が必要です。
夜勤の労働環境の整備
- 夜勤職員は身体的な負担が大きくなるため、適切な休憩時間や勤務後の休息が確保されているかも重要です。加算を得るためだけでなく、職員の健康と利用者の安全のために環境整備を行いましょう。
算定要件の定期的な見直し
- 厚生労働省の指導や介護報酬の改定に伴い、夜勤職員配置加算の基準や要件は変更される可能性があります。定期的に最新情報を確認し、必要に応じて対応を検討しましょう。
夜勤職員配置加算のよくある質問
Q1: 見守り機器はどのようなものを導入すればよいですか?
A1: 利用者がベッドから離れようとしている状態又は離れたことを検知できるセンサー、および、当該センサーから得られた情報を外部通信機能により職員に通報できる機器で、利用者の見守りに資するものが該当します。
Q2: 見守り機器を導入する場合、入所者の方のプライバシーはどのように保護されますか?
A2: 見守り機器を導入する際は、入所者の方のプライバシーに配慮することが重要です。具体的には、見守り機器の種類や設置場所、記録される情報の内容などを、入所者の方やご家族に丁寧に説明し、同意を得る必要があります。1 また、見守り機器の設置場所や使用方法を工夫することで、プライバシーへの配慮をより一層高めることも可能です。
Q3: 夜勤職員配置加算の算定について、不正がないか、どのように確認されますか?
A3: 介護報酬の請求には、適切な記録と根拠が必要となります。夜勤職員配置加算についても、夜勤職員の勤務記録や、見守り機器の導入状況、委員会の開催記録などを適切に保管しておく必要があります。1 これらの記録は、監査や指導の際に確認されることがあります。
Q4: 見守り機器の導入費用は、どの程度かかるのでしょうか?
A4: 見守り機器の導入費用は、機器の種類や性能、導入規模によって大きく異なります。詳細については、各機器メーカーや販売業者に問い合わせる必要があります。なお、国や自治体による補助金制度がある場合もありますので、事前に確認しておくとよいでしょう。
夜勤職員配置加算のまとめと重要ポイント
夜勤職員配置加算は、夜間の介護体制を充実させ、利用者に安心を提供するための重要な制度です。加算を得るためには、施設ごとに定められた配置基準や見守り機器の活用要件を満たし、適切な記録を行うことが求められます。また、定期的な制度改定に対応し、最新の情報をもとに加算取得に必要な条件を確認することが重要です。
施設の安全性を高めるためにも、要件をしっかりと理解し、実践に役立てていこうね!
お知らせ
ショートステイで働く方が直面する初期の悩みや考え方を整理するのに役立つ一冊を執筆しました。
- 稼働率を維持できるのか不安でプレッシャーがすごい。
- 居宅ケアマネや家族と上手くやっていく自信がない。
- 特養のことは教えてくれても、ショートのことを教えてくれる先輩がいない。
ショートステイで働く人の、こんな悩みを解決する1冊です。
ぜひ読んでみてください!