今日のテーマ「優しいだけなら介護士にはならない方がいい理由」
冷たく感じるタイトルかもしれませんが、私の経験上、間違っていないと思っていますし、私が大学に入って最初の講義で先生が同じことを言っていたのを覚えています。
- これから介護の仕事をしたい人
- 介護の仕事が自分に向いてない。と悩んでいる人
- 周りの人に勧められただけで介護士になろうと考えている人
- 介護の先入観を取っ払って仕事に望める!
- 優しさと何が必要なのかを理解して仕事をすれば、利用者にも家族にもしっかりとした対応ができる。
- 間違った見方をしなければ、介護が嫌いになりづらくなる!
[toc]
長所に「優しい」「まじめ」と書く人が介護職を選びやすい理由
10年ちょっと前の話ですが、大学時代に講義で先生が「お母さんとか親戚から、あなたは優しいから〜とか、お婆ちゃんっこだったからという理由から福祉の道に進んできた人はどのくらいいますか?」
という質問をしていました。
福祉系の大学で、その授業には100人ほどが出席していましたが、なんと3分の1ほどが手を上げたことをいまだに覚えています。
まさにこれが「優しい」「まじめ」という理由だけで介護職を選ぶ理由。
さらに大学の先生は厳しいようですが、こう続けました。
「自分の長所や特技を見つけられないで、周りの人に、あなたは優しいと言われたから福祉の道を選びました!って言う人は、すぐにでも考えを改めるか、大学で正しい知識をつけて、福祉に何が必要なのか学びなさい」
っと。
当時は正直言って嫌味な先生だと思っていましたが、働けばこれほどの正論はないと私は感じています。
優しいだけだとどう困るのか
介護職員として働いて、優しいだけで困る部分、また、優しさがむしろ邪魔をしてくる大きな出来事があります。
|
この2つです。
入居者さんとの死別
『死別』これは老人ホームでは避けられません。
常勤の職員なんかは、昼間の起きている時間だけで考えると、入居者さんと過ごす時間は、家族と過ごす時間より多いことになります。
そこまでの長い時間一緒にいて、悲しくない訳はないのかもしれません。
しかし、亡くなって退所となったら、気持ちをリセットする一種の冷たさを持つ必要があります。
気持ちのリセットは次の入居者さんを迎え入れる為
次の入居者さんが既に待っているからです。
亡くなってしまった人のことを考えていて、新しく入ってきた人のことが疎かになるようなことは絶対にしてはいけません。
その時、お金を出してサービスを受けているのは、新しい入居者さんです。
退所でお別れになる
『退所』する方も中にはいます。家族の都合等で仕方ない場合がほとんどです。
この時も死別と一緒で割り切ることが必要です。
お世話になったからと、連絡先を聞いてくる家族や利用者さんも中にはいるのですが、通常、個人の連絡先は教えてはいけません。
教えてはいけない1番の理由
プライベートで一生その人の期待に応えられる保証がないからです。
簡単な気持ちで連絡先を交換して、面倒だから電話が来ても出ない。メールも手紙も返さない。
このようなことは、高齢者を不安にさせる原因にもなりかねないのです。
会社としても、そういう可能性があるのに、連絡先交換は個々で自由にしていいとは言えないのです。
一種の冷たさで一線引く。必ず介護職が頭の中に置いている考えです。
その判断を優しさが邪魔しないようにすることが必要なのです。
入所している高齢者は本当に優しさを求めているのか?優しさ以外に何が必要か?
優しいに越したことはない!
でも、タイトルの通り、優しいだけでは入居者さんも頼れないし、その家族も不安に思うはずです。
優しい + 何か一つ
この『何か一つ』が必要です。
『何か一つ』が必要な理由
例えば、誰よりも優しいけど、シーツ交換もシワだらけ、オムツもズレてしまう。
それでも入居者さんの信頼を得られるでしょうか?
おそらく無理です!
得られていると思うとしたら、それは思い込みでしょう。
優しさ+もう一つで評価される
- 優しくて、仕事もできる。 → 当たり前なことだけど評価される
- 優しくて、可愛い!やハンサム! → これも評価される
2つ程誉められる部分ができることで、何故かその人の評価は「全体的に素晴らしい」という評価に変わりやすいのです。
心理学の『ハロー効果』に非常に近い状態と言えます。
介護現場に『ハロー効果』を取り入れることについて書いた記事はこちら
優しいだけなら介護士にはならない方がいい! 終わりに
介護士として働くにあたり、難しいのは、他人の介護をする点です。
そこではどうしても優しいだけではいけない部分もあり、むしろ「あっさりしてる」と言われるような冷たさも必要になります。
さらに、優しいと周りに評価されているという理由だけで全員が認めてくれる世界では決してありません。
それプラス何か長所を持ち、その長所を活かして入居者さんに接することで安心感を与えられるのです。
最後に、優しさだけでは務まらないですが、「優しくない」のは、その時点でアウトです。
どの世界でも、お客さんに『優しい』のは当たり前です。
それを履き違えれば、すぐに頭に血がのぼり、虐待につながりかねないのが高齢者介護です。